仏陀真理のことば
第六章賢い人
第6章は「賢い人」とは何であるかがテーマです。
この6章には、賢い人につき従うのが良いとか、悪友と交わるなとか、賢者は心理を聞くなどの詩が多くあります。
(1)教えの中から、真実なるものを選び取ると同時に、偽りのものを除くこと。
とされています。
いろいろの人がいろいろのことを教えてくれます。
仏教にはキリスト教のような聖書はありません。
仏陀の教えをいろいろの人がいろいろに解釈し、それぞれが正しいと考えて行動し、教えを説いています。
そうすると、中には少し脱線した教えが入り込んでくる可能性もありますから、闇雲に取り入れるのではなく、偽りのものは除けといっています。
(2)精進。
一心に努力しなくてはならないと言うこと。
(3)真実を知った喜びにひたること。
仏陀の教え、法を聞き、その正しさと偉大さに素直に感銘し、その法を得た喜びを心に感じなくてはなりません。
(4)心身を軽やかにすること。
現代でも正にそのように言われています。
健全な心、健全な身体は必須条件ということが出来ます。
思い悩んでいてはいけませんし、病弱でもいけません。
心身ともに健康であることが必要です。
(5)一切のとらわれを捨てなければなりません。
執着こそが苦の元であり、煩悩の源です。
更に執着だけではありません。
間違った考え方を正しいと思い込んでいる、そういうとらわれをも捨て去らねばなりません。
(6)心を乱さないこと。
落ち着きを持つことなのですが、それは身体の動きだけではありません。
精神が安定していなくてはなりません。
あれかこれかと迷うことは心に乱れがあることです。
(7)思いを一心にすること。
念じるということです。
やはりこれも心を乱すなと言うことに通じています。
このようにすることによって、法を悟り、心のあり方を正しくしなければなれません。
そうして執着を捨て、むさぼりを捨て、煩悩を捨てつくして、賢い人になると説いているようです。
輝く人になるのです。
輝く人は、来世で地獄や極楽に行くのではありません。
「現世において、束縛から解かれている」と言っているのではないでしょうか。
これは仏陀の教えの大切なところです。
地獄極楽は方便として仏陀も説いていますが、それはそのように説いたほうが分りやすい人に対して説かれた言葉であり、仏陀の真の教えはこの現世において束縛から解かれる事だと思います。
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第六章賢い人
76
(おのが)罪過を指摘し過ちを告げてくれる聡明な人に会ったならば、その賢い人につき従え。
──隠してある財宝のありかを告げてくれる人につき従うように。
そのような人につき従うならば、善いことがあり、悪いことは無い。
□ちょっとわかりやすく
自分のまちがいを指摘してくれる人こそ自分の師です。
逆怨みすべからず。
77
(他人を)訓戒せよ。
、教えさとせ。
宜しくないことから(他人を)遠ざけよ。
そうすれば、その人は善人に愛され、悪人から疎まれる。
78
悪い友と交わるな。
卑しい人と交わるな。
善い友と交われ。
尊い人と交われ。
79
真理を喜ぶ人は、心きよらかに澄んで、安らかに臥す。
聖者の説きたまうた真理を、賢者はつねに楽しむ。
80
水道をつくる人は水をみちびき、矢をつくる人は矢を矯め、大工は木材を矯め、賢者は自己をととのえる。
81
一つ岩の塊が風に揺るがないように、賢者は非難と賞讃とに動じない。
□ちょっとわかりやすく
人の非難や賞讃を気にしてはいけない。
正しい道を堂々と行け。
82
深い湖が、澄んで、清らかであるように、賢者は真理を聞いて、こころ清らかである。
83
高尚な人々は、どこにいても、執著することが無い。
快楽を欲してしゃべることが無い。
楽しいことに遭っても、苦しいことに遭っても、賢者は動ずる色がない。
84
自分のためにも、他人のためにも、子を望んではならなぬ。
財をも国をも望んではならぬ。
邪なしかたによって自己の繁栄を願うてはならぬ。
(道にかなった)行ないあり、明らかな知慧あり、真理にしたがっておれ。
85
人々は多いが、彼岸(カナタノキシ)に達する人々は少い。
他の(多くの)人々はこなたの岸の上でさまよっている。
86
真理が正しく説かれたときに、真理にしたがう人々は、渡りがたい死の領域を超えて、彼岸に至るであろう。
87
賢者は、悪いことがらを捨てて、善いことがらを行え。
家から出て、家の無い生活に入り、楽しみ難いことではあるが、孤独のうちに、喜びを求めよ。
88
賢者は欲楽をすてて、無一物となり、心の汚れを去って、おのれを浄めよ。
89
覚りのよすがに心を正しくおさめ、執著なく貪りをすてるのを喜び、煩悩を滅ぼし尽くして輝く人は、現世において全く束縛から解きほごされている。
仏陀真理のことば 6章
:dhammapada(buddha) 6