真理のことば
ダンマパダ(Dhammapada)
ダンマパダ(Dhammapada)は、仏陀(ブッダ)の語ったといわれる詩の名詩選で、パーリ語で書かれた原始仏典の一つで、真理の言葉といわれています。
ダンマは、真理とか法と言うような意味で、パダは言葉と言うような意味です。
26の章に分類され、全部で423の短い詩でできています。
「法句経」(ほっくきょう)として日本に伝わっています。
上座仏教では、このダンマパダが最高の仏教聖典です。
ですから、ビルマやスリランカでは、仏教の教えといえば、このダンマパダです。
世界的にも、仏教の基本聖典は、ダンマパダであることは、その翻訳点数の多さからみても、そういえるのだろうと思います。
ダンマパダは、もともとが詩の形をとってましたので、時代を経ても、あまり改定されずに現在に伝わっています。
仏陀(ブッダ)の生の言葉に一番近いのではないかと言われています。
仏陀(ブッダ)の教えは、膨大な仏典として今に残っています。
その中で、法句経はひときは異彩を放っております。
他の多くの経典が哲学や教義などのいわば難しいお経になっているなかで、まるで、一対一で友人にでも話しかけているような、とても平易な口語で書かれているからです。
多くの経典の中で、仏陀(ブッダ)の肉声に一番近いと言われています。
423のスートラ(項文)に、しかしながら、仏陀の言わんとしていることが凝縮されています。平易な言い回しですが、良く読めば内容は深淵です。
実に良く人間を観察し、把握し、理解したうえで、どうしたら良いか、的確に道を示してあります。
ダンマパダは、まさに、人間の優しさ、命、愛など、本当に大切なこと、本当に価値のあることを、思い出させてくれる、目の覚めるような得がたい経典だと思います。
自分自身が日常で、あるいは、人生で、困難に出会ったり、苦境に陥ったりした場合の具体的な抜け方や、克服のための考え方まで、簡明に、分りやすく書かれています。
どうしたら、幸せなそして、充実した、愛に溢れた人生の日々を送ることができるかということを、分りやすく、教えてくれていると思います。
幸福な日々を送るための具体的な心の持ち方、生活の仕方、考え方、について、懇切丁寧に、絶妙の比喩を交えながら、解説してあります。
ダンマパダは、とても平易な言い回しで、お経ではないと思われていたのかもしれませんが、良く読んでみると、そんなことはありません。
仏陀(ブッダ)が、いかに心を砕いて分りやすく弟子達に話したのだろうとその様子まで偲ばれます。
そして思わず、「ありがたい。」と思ってしまいます。
そのダンマパダを是非読んでいただきたいと思います。
仏陀(ブッダ)の本当の優しさありがたさ、愛の深さを是非、汲み取って頂きたいと思います。
ブッダの真理のことば・感興のことば (岩波文庫) [文庫]
中村 元 (翻訳)
ブッダのことば―スッタニパータ (岩波文庫) [文庫]
中村 元 (翻訳)
ブッダ神々との対話―サンユッタ・ニカーヤ1
(岩波文庫 青 329-1) [文庫]
中村 元 (翻訳)
ブッダ悪魔との対話――サンユッタ・ニカーヤ2 (岩波文庫 青 329-2) [文庫]
中村 元 (翻訳)
仏教の本質 哲学者「中村元」
中村元先生は、仏教・インド哲学の巨匠です。
漢文からの翻訳が中心だった仏教研究をインドの古代思想にまでさかのぼり
初めて原始仏典を現代語に翻訳しました。
ダンマパダは仏陀(ブッダ)の生の言葉
仏典は、ほとんどが「如是我聞(仏陀(ブッダ)は、下記のごとくおっしゃった」という言葉で始まっています。
仏典はすべて、仏陀(ブッダ)の言葉といえばそういえるのですが、仏典を読んでいるみれば直接語りかけてくれているようには聞こえません。
あくまで、教えを聞いた人の解釈や説明を、聞かされる感じになります。
このダンマパダだけは、他の仏典とは大きく違います。
仏陀(ブッダ)の生の言葉がそのまま書かれています。
仏陀(ブッダ)が生に語りかけてきているように感じることができます。
ダンマパダは、その意味では、興味深いお経だと思います。
どの項文(スートラ)も、「悪いことはするな、まじめに暮らせ」みたいな、当たり前のことばかり書いてあります。
項文を読んでみると、「これらは、仏陀(ブッダ)が弟子に話したものなのだな」とわかります。
弟子は、仏陀(ブッダ)のところに、修行に来ているわけですから、全ての項文は、修行について、仏陀(ブッダ)がその弟子達に話したものだということです。
仏陀(ブッダ)は、「修行者」を相手に説いています。
精神修養という面では、だれも等しく、「修行者」であるので、「日常の人生」を「修行の場」と考えれば、このダンマパダは、とても役に立つお話であるということができると思います。
真理のことば(ダンマパダ)』では、「死」についても以下のように語られています。
「大空の中にいても、大海の中にいても、山の中の洞窟に入っても、およそ世界のどこにいても、死の脅威のない場所は無い」
「生きとし生ける者は幸せをもとめている。もしも暴力によって生きものを害するならば、その人は自分の幸せをもとめていても、死後には幸せが得られない」
「生きとし生ける者は幸せをもとめている。もしも暴力によって生きものを害しないならば、その人は自分の幸せをもとめているが、死後には幸せが得られる」
仏陀(ブッダ)仏典の構成
南伝仏典では、経の長さに応じて「長部経典」「中部経典」、それをテーマごとに纏めた「相応部経典」、「増支部経典」、それ以外の種々な経典を集めた「小部経典」という分け方がされています。
これを五部といいます。
一方の阿含経は「長阿含経」「中阿含経」「増一阿含経」「雑阿含経」で構成され、これを四阿含といいます。
「長」と「中」についてはほぼ同じ内容になっています。
「相応部経典」が阿含経にはありませんが、これに対応するのが「雑阿含」で、「増支部経典」は「増一阿含」と同じとみなされているようです。
「小部経典」は阿含経にはありません。
中村元氏はこの小部の中の「スッタニパータ(経の集大成)」「ダンマパダ(真理のことば)」「ウダーナヴァルガ(感興のことば)」に力を入れて、それぞれ独立した本を出しています。(岩波書店)
これらは仏陀(ブッダ)仏教の中でも最も古いと見られ、しかも短い経で仏陀(ブッダ)の心を最も直截的に知らせるものとなっています。
ウダーナヴァルガ(感興のことば)
Udanavarga:Udana(=感興語)varga(=集まり)
ダンマパダ(真理のことば)
Dammapada:Damma(=法)pada(=ことば)
スッタニパータ(経の集大成)
Suttanipata:Sutta(=経)nipata(=集大成)
「スッタニパータ」はとても古い経典(現存するもので最古)ですが、素朴でありながら、後に作成された大乗仏教経典に匹敵する力強さ・優しさがあります。
原始仏教の経典は仏教のオリジナル(原典)であり、その後の仏教は、これらオリジナルに様々な追加修正、加工や工夫がなされて成り立っていると思います。